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最終更新日：2025年1月1日
まず、C言語では、コメントは、'/*'と'*/'で挟みます。コメントが複数行にまたがるのでなければ、'//'から行末までコメントになります。C言語で書かれたプログラムは、基本的に以下のような構造をしています。
ヘッダファイル記述
グローバル変数の定義
/* 共通サブルーチン */
int func0(引数) {
共通処理
return 戻り値;
}
/* サブルーチン1 */
int func1(引数) {
変数の定義
共通処理呼び出し：ret = func0;
関数1の処理
return 返り値;
}
/* サブルーチン2 */
int func2(引数) {
変数の定義
共通処理呼び出し：ret = func0;
関数2の処理
return 返り値;
}
/* サブルーチン3 */
int func3(引数) {
変数の定義
共通処理呼び出し：ret = func0;
関数3の処理
return 返り値;
}
void main(int argc, char *argv[]) {
変数の定義
コマンドライン引数の解析など起動時の処理
メモリ確保など、動作準備処理
サブルーチン1呼び出し：ret = func1(引数);
処理1
サブルーチン2呼び出し：ret = func2(引数);
処理2
サブルーチン3呼び出し：ret = func3(引数);
処理3、結果出力など
最終処理：メモリ解放、終了メッセージなど
exit(終了コード);
}
C言語では、通常、実行関数本体は、main()という名前の関数です。C言語コンパイラのパーサー(構文解析)は、単純に上から下に向って構文解析を進めるので、main()関数からサブルーチンfunc1()などを呼び出すときは、func1()が事前に定義されている必要があり、main()関数の記述よりも前にfunc1()の記述が来るのが原則です。また、関数内で使用される変数は、関数記述の最初で事前に定義されている必要があります。変数をどこでも定義できるPythonや、JavaScriptに比較して面倒な気がしますが、プログラミング作成前に事前に、プログラム構造について充分な検討をしておくことが、デバグを容易にし、安定して動作するシステムを作る上で重要なことです。その点では、むしろC言語の流儀を学んで頂きたいと思います。
C言語で用いる変数名、関数名、構造体名に使える文字は、半角アルファベット、数字、アンダーバー'_'です。大文字と小文字は区別されます。また変数名の最初の文字を数字にすることはできません。また、C言語で提供されている関数名、変数名、定数名を使用することもできません。
プログラム全体で共通に使用するグローバル変数は、そのグローバル変数を使用する位置よりも前に定義しておく必要があり、プログラムの先頭にまとめて記述するのが原則です。プログラム中で使用する組み込み関数を使う場合も、関数仕様(プロトタイプ宣言と言います)を幾つか集めて記述したファイル(ヘッダ・ファイルと言います)を最初に記述し、続けてグローバル変数の定義を記述します。
ヘッダ・ファイルは、入出力であれば、stdio.h，文字列操作であれば、string.h，メモリ関係であれば、malloc.hというようにあらかじめまとめて整理されています。これらを利用するために、#includeという機能(C言語固有の機能の4．プリ・プロセッサを参照してください)を使って、 #include <stdio.h>
#include <string.h>
#include <malloc.h>
という具合に記述して呼び出せばよいのですが、特に複数のプログラムを連携させて動作させる大規模なプログラムの場合、作成プログラム自体でも、関数定義や構造体定義をまとめておく方が都合がよいのです。そこで、ヘッダ・ファイルのincludeと、自前の関数定義、構造体定義をまとめて1ファイルとして、"test.h"にまとめ、プログラムの先頭で、
#include "test.h"
と記述して呼び出します。組み込み関数の関数仕様のヘッダ・ファイルをincludeする場合は、ファイル名を<～>で挟み、自前のヘッダ・ファイルをincludeするときには、"～"で挟むことに注意してください。
PythonやJavaScriptには、事前に変数の型を定義しておく、という発想がありませんが、メモリの効率的使用を重視するC言語では、事前に変数・配列の型定義を厳格に行って、冗長を許さず、変数を効率的に密にメモリ空間に割り当てていきます。大規模なシステム、膨大なデータを扱うAIシステムでは、メモリの効率的使用はとても重要です。型には以下のようなものがあります。
char 1バイトの符号付き整数(-128～127)、もしくは文字を表します。
short 2バイトの符号付き整数(-32768～32767)を表します。
int 4バイトの符号付き整数(-2,147,483,648～2,147,483,647)を表します。
long 8バイトの符号付き整数(-9,223,372,036,854,775,808～9,223,372,036,854,775,807)を表します。
unsigned char 1バイトの符号なし整数(0～255)、半角カナ文字コード、shift-JIS全角文字コード、UTF-8文字コード、UTF-16文字コードをバイト単位で表すのに使います。
unsigned short 2バイトの符号なし整数(0～65535)を表します。
unsigned int 4バイトの符号なし整数(0～4,294,967,295)を表します。
float 指数8ビット、仮数23ビットの浮動小数点数(1.175494351×10の-38乗～3.402823466×10の38乗)を表します。
double 指数11ビット、仮数52ビットの倍精度浮動小数点数(2.2250738585072014×10の-308乗～1.7976931348623158×10の308乗)
void 値が存在しないことを示す型です。戻り値のない関数の定義で、
void func() { ･･･ }
とするような場合に使います。
C言語の型については、キャストという操作があります。型の違うもの同士の代入のような場合に、型を変換して代入することを表します。例えば、int型の変数xの値をlong型の変数yに代入する場合、longをカッコでくるんで、
y = (long)x;
と記述します。なお、int型からchar型に代入するような場合、char型で表せる範囲を越えるような値を代入すると、下位8ビットのみが切り取られて代入されるので注意してください。int型のxからchar型のyに、y=(char)x;として代入すると、x=384のときy=-128になります。
C言語のソース・プログラムを複数のファイルに分けて記述する場合に、他のファイルに存在するグローバル変数にアクセスする必要が出てくる場合があります。そのときには、変数の宣言の前に、externを付けて、外部の変数であることを明示します。その変数のメモリ上の位置、その変数への参照は、リンカ(複数のオブジェクト・ファイル：拡張子が.oであるファイル、を、結合させて1つの実行ファイル：拡張子が.exeであるファイル、を生成する)が解決します。例えば、外部にある、unsigned char型変数flagにアクセスしたい場合、そのファイルの最初で、
extern unsigned char flag;
と宣言します。
C言語の関数定義は、原則的に、
戻り値の型 関数名(引数の並び) { 関数本体 }
という形をしています。関数がint型変数nを使って、return n;としているのであれば、戻り値の型はintで、関数func()が3個の整数型引数a，b，cをとるのであれば、
int func(int a, int b, int c) { ･･････ }
となります。引数の型は、呼び出し側と関数側で一致している必要があります。なお、関数を事前に定義せず、呼び出し側よりも後ろに置くか、別ファイルに置く場合、呼び出し側の前に、関数定義のみ書くことで、コンパイルを通すことができます。関数定義だけなら、引数の変数名は不要なので、関数func()であれば、
int func(int, int, int);
と書いておけば、この後で関数func()を呼び出すことができます。呼び出し側が、整数変数idataへのポインタを渡す場合、idataのアドレスを&idataと表します。関数funcx()を、整数型の戻り値retに受けるために、
ret = funcx(&idata);
として呼び出すのであれば、関数funcx()の本体は、
int funcx(int *pdata) { ･･････ }
という形になります。呼び出し側の前に関数定義のみ置くのであれば、
int funcx(int *);
となります。
main()関数は、引数なしでも構わないのですが、コマンドライン引数を受け取るために、
main(int argc, char *argv[]) { ･･････ }
とするのが普通です。整数型引数argcには、コマンドライン引数の数＋1が入り、argv[0]にはコマンド文字列を指すポインタ、argv[1]には第1引数文字列を指すポインタ、argv[2]には第2引数文字列を指すポインタ、という具合に入ります。例えば、実行ファイルがtest.exeで、この実行ファイルを、
test.exe abc defg hijkl
とタイプインして起動したのであれば、argv[0]は"test.exe"，argv[1]は"abc"，argv[2]は"defg"，argv[3]は"hijkl"です。
変数の有効範囲をスコープと言います。C言語で使用する関数では、変数は、関数本体の{ ･･････ }(ブロックと言います)の最初の部分で宣言するのが原則ですが、ブロック内で宣言されれば、宣言されているブロック内がスコープです。if文でも、while文でも、for文でも、switch文でも同様で、宣言されたブロック内がスコープになります。スコープ外からその変数にアクセスすることはできません。仮にブロック内で定義された変数とブロック外の変数とが同じ変数名であっても、別物として扱われます。ブロック内の変数をローカル変数、全てのブロックの外部で定義され、全てのブロックで共通に使う変数をグローバル変数と言います。諸所のウェブサイトに、グローバル変数は勝手に書き換えられたときにどこで書き換えられるか追求困難なので極力使うべきでない、と書いてありますが、そんなことはありません。デバガgdbのウォッチポイントで調べればすぐに分かることです。一々、関数の引数でデータを渡すのはコーディングを困難にし、プログラムが分かりにくくなります。グローバル変数にできる変数は極力グローバル変数にするべきです。Pythonでは、そもそも、グローバル変数が困難ですが、C言語では容易です。
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