東京大学2026年前期物理入試問題


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[1] 路面上を走る一輪車の運動を考えよう。図1-1 のように、一輪車と搭乗者を、 動力が内蔵された車輪が先端に付いた剛体棒としてモデル化する。 この剛体棒は太さと密度が一様であり、その長さ、質量はそれぞれLmである。車輪の大きさと質量は考えなくてよい。ここでは、車輪と路面間にはたらく摩擦力は静止摩擦力のみとし、その静止摩擦係数をμとする。この車輪付き剛体棒がすべらずに運動するとき、剛体棒は車輪と路面間の摩擦力を介して加速、減速する。重力加速度の大きさをとする。空気抵抗は無視してよい。

T まず、剛体棒が水平面上で等加速度直線運動をする場合を考える。図1-1のように、剛体棒が進行方向に加速するとき、車輪と路面の間ですべらずに加速することができる加速度の大きさの最大値を求めよ。

U 次に、図1-2のように剛体棒が水平な路面上で円運動をする場合を考える。図1-3は、図1-2中の剛体棒を進行方向の真後ろから見た図である。円運動の中心軸から車輪と路面の接触点までの水平距離をRとする。ここで、であり、剛体棒が傾くことによる重心の円運動軌道の半径の変化は無視してよい。また、簡単のため剛体棒の進行方向への傾きは考えなくてよい。

(1) 1-3において、剛体棒と水平面がなす角をθとする。剛体棒が速さで等速円運動をしている場合のRのうち必要なものを用いて表せ。
(2) 前問U(1)において、剛体棒がすべらずに等速円運動をすることができる速さの最大値をとする。を求めよ。
(3) 速さ()で等速円運動をしている状態から、半径Rを保ったまま、剛体棒を進行方向に一定の加速度の大きさaでごく短時間のあいだ加速させる。このとき、車輪と路面の間にはたらく静止摩擦力の大きさを求めよ。ただし、車輪と路面間にすべりは生じていないものとする。
(4) 前問U(3)において、剛体棒がすべることなく加速できるaの最大値を求めよ。
III 最後に、図1-4のように剛体棒がすりばち状の路面上を円運動する場合を考える。図1-5は、図1-4中の剛体棒を進行方向の真後ろから見た図である。路面と水平面のなす角をφ()とする。また、設問Uと同様に円運動の中心軸から剛体棒と路面の接触点までの水平距離をRとする。であり、剛体棒が傾くことによる重心の円運動軌道の半径の変化は無視してよい。また、簡単のため剛体棒の進行方向への傾きは考えなくてよい。


(1) 1-5において、剛体棒と水平面がなす角をθとする。剛体棒が速さ で等速円運動をしている場合のRφのうち必要なものを用いて表せ。
(2) 剛体棒がすべらずに等速円運動をすることができる速さの最大値をとする。を求めよ。ただしとする。
(3) 高速道路のカーブや競輪のコースでは, 外側が高くなるように勾配がついている。この理由について、設問U(2)およびV(2)の結果にもとづいて簡潔に述べよ。

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[2] 図2-1のような、円形レール上を回転する導体棒を含む回路を考える。導体でできた半径lの円形レールが水平面上に設置され、中心点には導電性の回転軸が設置されている。それらの上には、質量をもつ導体棒が渡してある。導体棒は、その一端が回転軸で支持されており、もう一端を円形レールに接触させたまま水平面内で回転することができる。円形レールと回転軸は、それぞれ端子Pと端子Oで抵抗や切り替えスイッチ等に接続されている。抵抗の値はRである。円形レール内には、磁束密度Bの一様な磁場が、鉛直上向き(紙面の裏から表の向き)にかけられている。ただし、円形レールの太さや回転軸の大きさは無視できるものとする。導体棒は変形せず、円形レールと回転軸以外には接触しない。 摩擦や空気抵抗、円形レールや導体棒の電気抵抗や接触抵抗、回路を流れる電流が作る磁場の影響は無視できるものとする。

T スイッチを開放したまま導体棒を一定の角速度で回転させたところ、端子Oと端子Pの間に起電力が生じた。この起電力は、係数αを用いてと表される。微小な時間内に導体棒が横切る領域を貫く磁束を考え、係数αlBを用いて答えよ。符号は問わない。

U 導体棒を静止した状態に戻したうえで、スイッチを端子Xに入れ、電圧Vの直流電源に接続した。直流電源の内部抵抗は無視できるものとする。

(1) スイッチを端子Xに入れた直後に導体棒の回転軸周りにはたらく力のモーメントの大きさをVlBRを用いて表せ。符号は問わない。ただし、導体棒は太さが一定であり、一様な密度をもつものとする。
(2) その後、導体棒が回転軸の周りを回転し始めた。図2-1()()のどちら向きに回転したか答えよ。
(3) 十分時間が経過した後、導体棒は一定の角速度で回転し続けた。この角速度の大きさをVαlBRから必要なものを用いて表せ。符号は問わない。

V 設問U(3)のように導体棒が角速度で回転している状態で, スイッチを端子Yに切り替え、容量を持つコンデンサー1に接続する。導体棒の回転は徐々に緩やかになり、十分に時間が経過した後、一定の角速度で回転し続けた。このとき、コンデンサー1に蓄えられているエネルギーをαlB から必要なものを用いて表せ。ただし、最初はコンデンサー1には電荷は蓄えられていなかったものとする。

W 設問U,Vの操作の結果は、図2-2のように、端子O-P間の部分を仮想コンデンサー(コンデンサー2)とみなすことでも理解できる。コンデンサー2は実際のコンデンサーと同様の性質をもつ。つまり、端子間の電圧,仮想的な容量と仮想的な電荷の間の関係式、および蓄えられる静電エネルギーは、実際のコンデンサーと同じ式で表される。

(1) 物体が回転しているとき、その物体は回転による運動エネルギーをもつ。 導体棒が一定の角速度ωで回転しているとき、その運動エネルギーは、定数βを用いてと表すことができる。これに等しいエネルギーがコンデンサー2に静電エネルギーとして蓄えられていると解釈するとき、を、それぞれωαβを用いて表せ。
(2) 2-2において設問U,Vと同じ操作を考える。すなわち、スイッチを端子Xに入れて十分時間が経過した後、 スイッチを端子Yに切り替え、十分に時間を経過させる。この操作の結果、コンデンサー1に蓄えられているエネルギーをVを用いて表せ。ここで、スイッチを端子Yに切り替えた後、 コンデンサー1とコンデンサー2に蓄えられる電荷の和は変化しないと考えてよい。
(3) 設問Vと設問W(2)の結果から、設問VのVαを用いて表せ。

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[3] レンズによって物体の実像をスクリーン上に投影することを考える。ただし、レンズの厚みは無視できるものとする。

T ここでは光が進む様子を光線としてとらえよう。図3-1のように、焦点距離がdの凸レンズを用いて、dに比べはるかに大きい距離D()にある高さHの物体Aの像を、スクリーンSに投影することを考える。

(1) スクリーンに明瞭な像を投影するためには、レンズとスクリーンSとの距離をレンズの焦点距離dと等しくすればよい。このことを、物体と実像とレンズの位置関係を表すレンズの式を用いて、簡潔に説明せよ。

(2)この結像について述べた下の文章の空欄()()に入る式と語の組み合わせとして最も適当なものを、下の表の(a)(f)のうちから一つ選べ。

十分遠方の物体Aから発せられた光のうち、レンズの中央を通る光は直進することに注意すると、スクリーンS上の像の高さhとなる。これより、スクリーン上に物体の像をより大きく投影するためには、焦点距離が、よりレンズを用いればよいことがわかる。

 
 (a) 短い
 (b) 長い
 (c) 短い
 (d) 長い
 (e) 短い
 (f) 長い


実際のカメラの望遠レンズ(十分遠方の物体の像を大きく投影するレンズ)の構成について考えよう。図3-2は凸レンズと凹レンズを用いて、図の右側の十分遠方に置かれた物体の明瞭な像をスクリーンSに投影する様子を示している。凸レンズの焦点距離はであり、それぞれのレンズとスクリーンとの間の距離は図3-2に示すとおりである。

(3) 光軸に平行で、かつ光軸から距離wだけ離れてに入射する光線に注目する。この光線はにより屈折しての焦点に向かうが、途中でにより再び屈折して、スクリーンS上の位置で光軸と交わる。このとき、レンズの焦点距離を、dを用いて表せ。また、この光線がスクリーンに達する際に光軸となす角αに対して、dwを用いて表せ。

(4) 3-2で示したレンズおよびによる組み合わせレンズを、適切な位置に置いた単一の凸レンズに置き換えて、前問I(3)で注目した光線を光軸となす角度αで点を通過させることを考える。このとき、この凸レンズの焦点距離をdを用いて表せ。

(5) 実際に用いられる望遠レンズは、図3-2のようなレンズの構成となっていることが多い。単一の凸レンズを用いた場合と比較して、その利点を簡潔に述べよ。

U 設問Iでは光の伝わり方を光線で示したが、実際には光は波であるために物体上の一点から出た単色光をレンズで投影しても、像がわずかにぼやける(ボケが生じる)。光の波長をλとしてこのボケの大きさを考えよう。図3-3のように、1枚の凸レンズLによって十分に遠方にある物体の像をスクリーンSに投影する場合を考える。レンズLの半径はRであり、焦点距離はdである。図のように十分遠方に置かれた物体の光軸上の一点から発せられた光はLに平面波として入射するが、Lを通過した後は球面波となって焦点Oに集束してゆく。Lを通過した直後の波面Wは、焦点Oを中心とする半径dの球面と考えてよい。 焦点Oを原点、光軸をx軸、スクリーンに沿ってy軸をとる。以下ではのとき、の近似式を用いてよい。

(1) 3-3に示されるように、波面W上のすべての点から焦点Oまでの距離は等しい。このため焦点Oには、レンズを通過した光はすべて同じ位相で到達し、点Oは明るくなる。一方、焦点Oの近傍の位置Qでは到達する際の光の位相は異なってくる。このとき波面 W上にあるレンズの端近傍の点からQまでの距離を,レンズ中央部の点からQまでの距離をとする。ここで角度βは直線と光軸のなす角である。このとき光路差を、dを用いずにxyβのみで表せ。ただしであり、とする。

(2) スクリーン上に点Qがあるとする。スクリーン上の像のボケの大きさは、前問II(1)で求めた光路差が光の半波長となるときのQy座標の値で与えられるものとする。このボケの大きさを、βλを用いて表せ。

(3) 前問II(2)で、のとき、ボケの大きさを求めよ。さらに物体とレンズ間の距離がであるとき、このスクリーン上でのボケの大きさは、物体上でどれくらいの大きさに対応するか求めよ。

(4) スクリーンを焦点Oから光軸に沿ってレンズLに近づけたときに、ほぼ明瞭な物体の像を結ぶことができるスクリーン位置の許容範囲を考えよう。 この許容範囲は、点Qx軸上で動かしたとき、設問U(1)で求めた光路差 が光の半波長と等しくなるまでの範囲と考えるものとする。点Qの座標をQとするとき、この許容範囲を与えるxの値を、βλを用いて表せ。
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なお、解答は、
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